消滅時効援用をすると信用情報の記載はどう変わるのか。

私は債務者の代理人である認定司法書士として多数の消滅時効援用を取り扱っていますが、消滅時効援用の内容証明を発送した後に、信用情報にどのような記載がされるのかを実際に確認する機会は多くありません。

消滅時効の援用が成功した場合、ご依頼者との関係はそれっきりになるのが通常であり、その後に取得した信用情報開示報告書を見せていただくことは少ないからです。

ところが、ジャックスに対して消滅時効援用をした後に、シー・アイ・シー(CIC)から再び取得した信用開示報告書を見る機会がありました。

その信用開示報告書には、「《お支払の状況》支払に関する情報」 の「28.補足内容」に「解消」との記載がされ、延滞解消日として内容証明を送った日から2週間後位の日付が入っていました。また、「31.終了状況」には、「完了」との文言が入っています。

ただし、「26.返済状況」にあった「異動」や、(異動発生日)の情報はそのまま記載されています。つまり、延滞解消により契約終了とはなっているものの、異動との事故情報は残ってしまっているわけです。

そして、この情報が消えるのは信用開示報告書の右上に記載のある「保有期限」のときまでです。この保有期限は、延滞解消日として書かれている日から5年後の月の末日となっていました。したがって、異動の事故情報が削除されるのは時効援用が認められたときから5年後であることになります。

消滅時効援用をしても事故情報が5年も残ってしまうのは厳しい話ですが、消滅時効援用をしなければ契約が終了せず保有期限の表示はありませんでした。保有期限が空欄ということは、いつまでも事故情報が消えないわけですから、やはり消滅時効援用をする必要はあるということです。