消費者金融(サラ金)やクレジットカードのキャッシングを利用していたが、最後に返済したときから10年以上も延滞したままになっていたような場合に、今になって請求書(督促状)が届くこともあります。

まず、その書類を送ってきたのが消費者金融クレジットカード債権回収会社などであるのか、もしくは、裁判所(封書に「東京簡易裁判所」などと書かれている)からの書類であるのかによって対応すべき緊急性が変わってきます。

これはその書類が普通郵便で送られてきたのか、または、特別送達という特殊な郵便物であるのかでも判別できます。

督促状が普通郵便か特別送達かによる対応の違い
1.普通郵便による請求の場合
2.裁判所からの特別送達が送られてきたとき

1.普通郵便による請求の場合

消費者金融、クレジットカード、債権回収会社などによる請求の場合、その督促状などは普通郵便で送られてくるのが通常です。普通郵便で届いた督促状であるときには、対応すべき緊急性はそれほど高くないと考えられます。

たとえば、普通郵便により督促状や催告書などを何度送ってきたとしても、それによって時効が中断してしまうようなことはありません。つまり、普通郵便による請求の場合には、それによって何らかの法律的な効力が生じるわけではないのです。

よって、すでに消滅時効が完成しているのであれば、普通郵便による請求を無視し続けていたとしても、その後に必要に応じて消滅時効の援用をすることが可能です。

ただし、仮に消滅時効が完成していなかった場合には、放置していれば遅延損害金がかさんでいきます。また、消費者金融や債権回収会社によっては、担当者が自宅へ訪問してくることもあるかもしれません。

さらに、借金を延滞したまま放置していたとすれば、いつまで経っても信用情報がブラックのまま回復しない恐れもあります。つまり、普通郵便による請求がおこなわれている段階であれば、慌ててただちに行動を起こす必要性が高いとまでは言えないとしても、いつまでも放っておくのはやはり避けるべきです。

なお、債権者の担当者が自宅へ訪問してきた場合、直接話をしてしまうのは極力避けるべきです。少しでも支払ってしまったり、支払いの約束をしてしまえば、その後の消滅時効援用が困難になる恐れがあります。

また、督促状などが届いた場合に、自分で債権者へ問合せの電話などをするのも止めた方がいいです。問い合わせの電話は録音されている可能性が高いですから、支払い義務があることを認めてしまったりすると、やはり消滅時効援用が出来なくなる恐れがあります。

何らかの対応をしようと考えるのであれば、自分で何とかしようとせず、すぐに専門家(弁護士、認定司法書士)に相談するようにしてください。

2.裁判所からの特別送達が送られてきたとき

債権者からの請求を無視していると、訴訟や支払督促による請求がおこなわれることがあります。この場合、裁判所から特別送達という特殊な郵便により訴状や支払督促が送られてきます。

裁判所からの特別送達は郵便受けに投かんされることはなく書留郵便などと同じく手渡しにより配達されます。また、配達時に不在だったときには不在票が入っているはずですので必ず受け取るようにしましょう(特別送達を受取拒否をしても裁判から逃れることはできません)。

債権者から訴訟や支払督促を起こされてしまった場合には、適切な対応をすることが絶対に必要です。もしも、訴訟や支払督促の時点で消滅時効が完成しているときには、そのときからでも消滅時効の援用が可能です。

ところが、訴訟や支払督促へ適切な対応をせずに期限が過ぎてしまったら、すでに時効になっていた場合であっても支払い義務のあることが確定してしまうのです。この場合、判決などの確定の日から10年間は消滅時効の援用が出来なくなってしまいます。

つまり、訴訟や支払督促にちゃんと対応すれば時効援用が可能だったのが、どうしていいか分からないと放置しておいた場合には時効ではなくなってしまうのです。

裁判所からの特別送達が送られてきたときには、必ずすぐに専門家(弁護士、認定司法書士)へ相談するようにしてください。定められた期限を過ぎてしまった場合には、いくら専門家であっても何ともしようがありません。