自己破産申立の提出書類を準備するのにあたり注意すべきことなどについて備忘録的に書いていきます。裁判所により取り扱いが異なる場合もありますし、また、同じ裁判所であっても取り扱いが変わることもあるので、あくまでも参考としてご覧ください。
1.提出書類
提出書類について注意すべきことなど。
1-1.共通提出書類
■住民票
- 世帯全員のもの。もともと一人世帯である場合であっても、「世帯全員」と指定して交付を受けること。
- 本籍地の記載を必ず入れる。個人番号(マイナンバー)は入れない。
1-2.財産目録記載事項の疎明資料
■退職金見込額が分かる資料
- 勤務先による「退職金見込額証明書」等を提出する。また、退職金支給規定等により退職金見込額が算出可能なのであれば、退職金支給規定等の提出でも可(ただし、退職金見込額の証明書でなければ駄目だとする裁判所もある?)。なお、勤続年数が1年に満たないようなときには、退職金見込額が分かる資料の提出は不要。
- 正社員であっても退職金が支給されない場合、勤務先による「退職金がないことの証明書」などを提出(書式は任意のもので可)。
- アルバイトや契約社員など、退職金の支給されないことが明らかな場合には、とくに証明書などの提出は求められない。
■預貯金(通帳・取引明細書)
- 過去2年分など裁判所によって必要な期間の指定がある(通帳は申立直前に記帳する)。指定された期間中に入出金のあった銀行口座については、すでに解約している場合も含めて全て提出する必要あり。
- 通帳に一括して記帳されている箇所がある場合、その期間についての取引明細が必要。ネット銀行などもともと通帳が存在しないときには、2年分など必要期間についての取引明細を用意する。
- 入出金については全て裁判所によりチェックされ、振込の相手方や理由などについて一つ一つ説明を求められることもあり。
■保険(生命保険、傷害保険、火災保険、自動車保険など)
- 生命保険に限らず、保険料として支払っているもの全ての保険証券・保険証書を提出する(解約返戻金がない生命保険なども全て)。
- 保険証券等により解約返戻金のないことが明らかなもの以外については、解約返戻金額の分かる資料(保険会社発行の解約返戻金証明書など)の提出が必要。
■自動車・バイク
- 車検証・登録事項証明書等を提出する。
- 初年度登録から5年未満の場合には、車見積書等の「時価がわかる資料」の提出が必要。
■不動産
- 不動産を所有している場合、登記事項証明書(全部事項証明書)を提出する(登記事項証明書は、共同担保目録付きで取得すること)。固定資産評価証明書の提出も必要。
- 住宅ローンがある場合には、ローン残高証明書(債権者からの債権届等)も提出。
- 所有する不動産がオーバーローンの状況にあるときは、「オーバーローンの上申書」を提出することにより、同時廃止の手続に。オーバーローンと認められるのは,残債務額が時価の1.5倍以上ある場合(固定資産評価証明書に加えて、不動産業者による査定書の提出を求められることもあり)。
■受領・処分した財産
- 過去2年間に不動産を処分している場合には、処分したことがわかる資料(契約書・領収書など)、登記事項証明書(全部事項証明書)を提出する。
- 過去2年間に退職金を受け取った場合には、退職金支給額がわかる資料を提出する。
- 過去2年間に保険を解約した場合には、受領した解約返戻金に関する資料を提出する。
1-3.陳述書(報告書)の記載事項の疎明資料
■源泉徴収票・課税証明書(非課税証明書)
- 源泉徴収票があれば提出する。ただし、源泉徴収票を提出しても、課税証明書の提出を求められることもある(とくに途中で転職している場合など)。
- 源泉徴収票がなければ、課税証明書(または非課税証明書)を提出する。
■給与明細
- 給与明細は直近2か月分を提出する。複数の会社等から給与の支給を受けているときは全てを提出。
■受給証明書
- 生活保護、年金、失業保険、児童手当などを受給している場合には、その受給証明書を提出する。
■住居に関する資料
- 賃貸の住居に住んでいる場合には、賃貸者契約書・住宅使用許可証などを提出する。
- 親族所有の家屋などに住んでいる場合には、不動産の登記事項証明書(全部事項証明書)を提出する(誰が所有してるかを確認するために提出するものなので、親族所有家屋の処分が必要ないのは当然のこと)。