「5分の電話だけで過払い金の無料診断をします」というような宣伝をしている、弁護士や認定司法書士によるホームページがあります。

過払い金を数多く取り扱っている専門家であれば、最低限の情報を確認するだけでたしかにある程度の予想は可能です。これは大きな事務所だから特別な過払い金診断できるというわけでは無く、以前より街中にある弁護士や認定司法書士であっても同様です。

したがって、過払い金の有無を知りたいというときは、過払い金請求を取り扱っている専門家に問い合わせてみれば、大体のことはすぐに分かります(過払い金のご相談)。それでも、問合せをする前に自分で診断してみたいという場合は、次のようなことをご確認ください。

過払い金の有無の判断(目次)
1.借入れしていた時期の確認
2.借入利率の確認
3.ショッピングリボは過払いにならない
4.完済してから10年間が経過していないか
5.取引期間が何年くらいあるのか
6.取引期間中の過払い金請求

1.借入れしていた時期の確認


過払い金が発生するのは、利息制限法の上限金利(借入額が10万円以上100万円未満なら18%)を超える金利での借入をしていた場合に限られます。

貸金業者(消費者金融、クレジットカード会社)により、利息制限法の上限金利を超える、いわゆるグレーゾーン金利での貸付がおこなわれていたのは、平成22年6月18日より前に契約していてた場合のみです。

つまり、新規契約が平成22年6月18日以降の場合には、過払い金が発生している可能性はゼロだということです。

そして、実際には貸金業法改正による上限金利の引き下げが実施される前から、前倒しで貸出利率を下げているケースも多かったようです。したがって、過払い金が発生しているのはもっと前から借入をしていた場合であるのが通常です。

2.借入利率の確認


新規契約が平成22年6月18日以降の場合であっても、利息制限法の上限金利を超える、いわゆるグレーゾーン金利での貸付をそもそも行っていなかった貸金業者もあります。

一部のクレジットカード会社では、キャッシングのリボ払いでも利息制限法の上限金利(借入額が10万円以上100万円未満なら18%)内での貸付を行っていました。この場合、どれだけ取引期間が長くても過払い金が発生することはありません。

また、消費者金融でも銀行系などといわれていたところでは、利息制限法の上限金利を超える金利での貸付は行っていませんから、同様に過払い金が発生することはありません(消費者金融では無く、銀行からの借り入れの場合にも、過払い金が発生している可能性はありません)。

ご自分が利用していた、消費者金融、クレジットカード会社の金利がどうだったか不明な場合には、過払い金を取り扱っている専門家(弁護士、認定司法書士)へ問合せしてみれば分かるはずです。

3.ショッピングリボは過払いにならない


クレジットカードを使用していた場合に、過払い金が発生するのはキャッシングの利用があった場合に限られます。キャッシングにはリボ払いと一括払いがありますが、過払い金が多くなりやすいのはキャッシングのリボ払いをしていたときです。

クレジットカードのショッピングリボ払いについては、利息制限法の上限金利を超えるような手数料を取っていたものは存在しないと思われます。したがって、クレジットカードのショッピングリボ払いについては、平成22年6月18日より前の利用であっても、過払い金が発生していることはありません。

4.完済してから10年間が経過していないか


過払い金の返還が受けられるのは、取引が終了したときから10年間です。完済したことにより取引が終了したとすれば、完済から10年以内に過払い金の返還請求をしなければなりません。

完済してからの期間が不明な場合でも、専門家(弁護士、認定司法書士)に依頼して調査をすることが出来ます。完済から時間が経っているときは、過払い金が時効により消滅してしまわないよう、早めに専門家に相談するのがよいでしょう。

5.取引期間が何年くらいあるのか


いくら高金利での借入だったとしても、取引期間が短ければほとんど過払い金は発生しません。

利息制限法の上限金利を超える金利での借入をしていたならば、取引期間の長短に限らず過払い金は必ず発生します。しかし、1,2年などの短い期間で完済解約してるときには、過払い金も少額であることになります。

それでも、完済後の過払い金請求では、弁護士や司法書士に払う費用を「戻ってきた過払い金の21.6%」のみとしている事務所もあります。この場合、戻ってきた過払い金が少なくても依頼者が損をすることはありませんから、借入期間が短かった場合でも過払い金請求をしてみる価値はあります。

ただし、過払金返還報酬の最低額が決まっていたり、着手金やその他の手数料がかかる事務所の場合、過払い金が少ないと手続きをする意味が無いこともあるでしょう。依頼する前に費用についてよく確認することをお勧めします。

6.取引期間中の過払い金請求


過払い金請求は、すでに支払いが終わっている(完済後)場合だけで無く、支払いをしている途中でもすることができます。

ただし、借入残高があり、支払いをおこなっている途中の場合には、利息の再計算をしても過払い金が発生していないことがあります。この場合、再計算後の借入残高を相手方に支払うこととなります。

分割払いによる和解も通常は可能ですが、この手続きは債務整理に当たりますから、信用情報に登録されてしまいます。支払いが終わっていない状態で過払い金請求をしようとするときは注意が必要です。

過払い金請求を取り扱っている専門家であれば、借入先の会社名と取引期間が分かれば、過払いになっているかは大体予想が付きます。

それでも、正確なところは相手方から取引履歴を出して貰わなければ分かりません。したがって、取引期間中である場合には、5分の電話で過払い金の有無を正確に診断することは不可能です。