すでに返済が完了している(完済している)業者に対しての過払い金請求では、着手金がかからないと宣伝している例をよく見かけます。

たとえば、「弁護士報酬は、回収額(返金された金額)の21.6%」というようなケースです。ここで注意しなければならないのは、報酬以外の手数料がかかったり、最低報酬額などの条件が無いかということです。

報酬が回収額の21.6%のみなのであれば、返金額が100万円ならば報酬は21万6千円ですから78万4千円が手元に戻ってきます。そして、返金額が10万円の場合には報酬は2万1600円で、7万8400円が返金されることになります。

ところが、報酬以外の手数料がかかったり、最低報酬額などの条件がある場合には、「とくに返金額が少ないときには、手元に戻ってくるお金が大きく目減りしてしまうことがある」ので要注意です。

過払い金請求の費用(最低報酬額や事務手数料について)
1.報酬以外に事務手数料などがかかる場合
2.最低報酬額が定められている場合

1.報酬以外に事務手数料などがかかる場合

ある大手の弁護士法人では、完済後の過払い金請求の場合、「過払い金返還の着手金は無料で、報酬金は返還金額の21.6%(税込)のみ」であるとしています(任意での交渉により過払い金が返還された場合)。

ところが、上記の報酬金のほかに、1社あたり21,600円の事務手数料がかかるのです。

それでも、返金された過払い金の額が100万円ならば、報酬金216,000円と事務手数料21,600円を差し引いても、手元には762,400円が戻ってきます。この場合には、事務手数料21,600円がかかるとしても、それほど気にならないかもしれません。

ところが、返金された過払い金の額が10万円のときには、報酬金21,600円と事務手数料21,600円が差し引かれるので、手元に戻ってくるのは56,800円のみになってしまいます。つまり、返金された過払い金の額から43.2%も差し引かれた金額しか戻ってこないのです。

回収額の21.6%以外の費用は一切かからないとしている弁護士や司法書士もいますから、費用のことを考えるならばそのような事務所を選ぶべきであるといえます。事務手数料を取る大手ならば、たくさんの過払い金が戻ってくるということもありません。

2.最低報酬額が定められている場合

ある弁護士法人のホームページには、完済後の過払い金請求の場合、「着手金、減額報酬はかからず、報酬は回収額の21.6%のみ」であると書かれています。

ところが、報酬は回収額の21.6%のみであるとしても、最低報酬額が54,000円となっているのです。

この場合には、返金された過払い金の額が100万円ならば、報酬金216,000円を差し引いた784,000円が手元に戻ってきます。先ほどの、事務手数料21,600円がかかる弁護士法人に頼むよりも多くの返金を受けることができます。

しかし、返金された過払い金の額が10万円のときには、回収額の21.6%では無く、最低報酬額である54,000円がかかることになります。つまり、回収額の54%が報酬であることになり、手元に戻ってくるのは46,000円のみとなってしまいます。

報酬は回収額の21.6%のみ(ただし、最低報酬額が54,000円)という場合、1社からの返金額が最低25万円なのであれば、最低報酬額の定めがない場合と比べて損をすることはありません。

けれども、取引期間がそれほど長くなければ、過払い金が25万円未満であるのは普通のことです。

最低報酬額の定めなどは無く、回収額の21.6%以外の費用は一切かからないとしている弁護士や司法書士もいますから、費用のことを考えるならばそのような事務所を選ぶべきであるといえます。

費用が高いことと、過払い金の回収率が高いことは関係ありません。費用が安くても、ちゃんと仕事している弁護士や司法書士はいくらでもいます。

過払い金の請求を依頼する前には、報酬についてしっかり確認し、納得してから契約書にサインをするようにしましょう。