株式会社アプラスからの借金の返済が滞ったままになっていたところ、弁護士(法律事務所)から「債権譲受及び受託通知書」や「催告書」などの書面が送られてきたとのご相談です。

最近は、当初の借入先(原債権者)や債権回収会社が直接請求をするのではなく、弁護士法人や法律事務所に債権回収業務を依頼するケースが増えているようです。

弁護士法人や法律事務所からの請求だからといって、特別な効力が生まれるわけではありませんが、弁護士名による請求書には強い心理的効果を受ける人も多いでしょう。さらに、弁護士に債権回収業務を依頼したとなれば、すぐにでも実際に裁判手続きがおこなわれることも考えられますから放置するべきではありません。

今回はみずなら法律事務所から請求書等が届いたとのご相談です。当初の借入先である株式会社アプラスからエムズホールディング株式会社に債権が譲渡され、さらに、みずなら法律事務所へ債権回収の委託がおこなわれたというものです。

最初は、債権譲渡人株式会社アプラスから「債権譲受及び受託通知書」とのタイトルの文書が送られてきます。その内容は次のようなものです。

債権譲受及び受託通知書

(貸金業法第24条に係る第17条に基づく書面)

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
株式会社アプラス(以下、譲渡人という)は、エムズホールディング株式会社(以下、譲受人という)に対し、2018年○月×日をもって譲渡人が貴殿に対して有する後記債権を、全て譲渡しましたので、民法第467条によりここに通知いたします。
また譲受人は、みずなら法律事務所(以下、代理人弁護士という)に対し、これら譲渡債権の管理回収業務を委託しましたので、ここに通知致します。
本書到着後、譲渡債権のお支払いは代理人弁護士の後記口座へお支払いいただくとともに、本件に関するお問い合わせも、代理人弁護士の後記連絡先宛にされるようお願い致します。 敬具

【当事者についての記載】
債権譲渡日: 2018年○月×日
譲渡人:   大阪市浪速区湊町1丁目2番3号
(原債権者) 株式会社アプラス
譲受人:   札幌市中央区南1条西4丁目13番地
(現債権者) エムズホールディング株式会社
代理人弁護士:札幌市中央区南1条西6丁目札幌北辰ピル2F
       みずなら法律事務所 弁護士 西村 歩
借主:    東京都台東区上野1丁目○番×号
       ○○ ○○ 様

上記の通知書の後には、みずなら法律事務所から請求が来るようになります。内容は支払いや連絡を求めるものですが、そのまま放置していると「催告書」→「和解のご提案」→「法的措置予告通知」というように文書が送られてきます。法的措置予告通知には次のように書かれています。

当職は、受任した下記債権につき、貴殿に対して支払の催告及びご連絡をお願いしており、催告書においては法的措置への移行も検討していることをお伝えしております。
しかしながら、本書面発行日現荘に至るまで、何等の進展もない状態が続いていることは誠に残念であり、先にお伝えしました通り、法的措置へ移行せざるを得ない状況にあります。もっとも、当職と致しましては話合いによる解決が望ましいと考えており、支払方法等に関するご相談を承る用意があることもお伝えした通りです。
つきましては、法的手段による解決を回避し、これ以上の事態の悪化を防ぐためにも、下記【本状発行日時点残高】欄記載の請求債権合計額のお支払について、下記の口座にお支払いいただくか、改めて返済方法等のご相談に応じますので、本状到着後、5日以内に上記の連絡先までご連絡下さいますようお願い致します。

このような通知を受け取ってから5日が経過しても、ただちに法的措置(訴訟、支払督促など)がおこなわれるとは限りません。しかし、そのまま放置していれば、何らかの裁判手続きがおこなわれる可能性も十分にあると思われます。

この場合、通知書に請求金額合計(本状発行日時点残高)として書かれている金額を一括で支払っても構わないと考えるならば、指定された銀行口座に全額を振り込みにより支払うことでも解決します。

けれども、最終弁済期日から5年が経過しているのであれば、消滅時効が成立していることも考えられます。この場合には、時効援用の手続きをすることにより債務が消滅し、再び請求が来ることは無くなります。

時効援用をする際には代理人(弁護士、認定司法書士)を通じておこなうのが通常です。上記のような通知が届いたら、早急に専門家(弁護士または認定司法書士)に相談するようにしてください。

なお、全額を請求通りに支払ってもいいと考える場合を除いては、ご自分で相手方(法律事務所)へ電話連絡などをするのは避けるべきです。最初から専門家へ相談して、どのように対応するかを決定すべきです。