携帯電話やスマートフォン(以下、まとめて「スマホ」とします)の端末代金を分割払いしている最中に自己破産した場合、そのスマホは携帯電話会社等に返却しなければならないのでしょうか?また、携帯電話会社との契約自体が解約になってしまったりはしないのでしょうか?

個々のケースや携帯電話会社によって対応が異なる場合もあると思われますが、端末代金を分割払い中に自己破産してもスマホを手放さずに済むし、そのまま携帯電話会社との契約も継続できるのが通常だと思われます。

スマホ端末代と月々の電話料金の取り扱い

自己破産の申立をする際には債権者一覧表を作成し裁判所へ提出します。そして、スマホの端末代金を分割払い中の場合、この債権者一覧表には分割の残代金を記載することになります。これによりスマホ端末代の残代金は破産債権に含まれることになりますから、自己破産して免責が得られた際には支払い義務が消滅するわけです。

この場合に、スマホを携帯電話会社に返却しなければならないのかといえば、たとえばドコモオンラインショップの割賦販売契約約款をみると、『指定商品の現実の引渡しが完了したときに指定商品の所有権が当社から契約者に移転するものとします』とあります(指定商品とは、この約款において「携帯電話機及びその付属品等」を指しています)。

したがって、自己破産したことによりスマホ端末代の残代金が免責されたとしても、スマホの所有権は引き渡しが完了した時点で契約者に移っているのですから返却する必要は無いわけです。

そしてこの場合であっても、月々の電話料金の支払いを滞納していないならば、電話料金については債権者一覧表に載せる必要はありませんし、自己破産申立の前後を通じて月々の支払いを継続していくことができます。よって、自己破産をしても携帯電話会社との契約が解約されてしまうことはありませんし、それまでと同じ電話番号で携帯電話(スマホ)を使い続けられることになります。

結局、月々の携帯電話料金の支払いを滞納して強制解約になってしまったような場合で無ければ、自己破産をしても分割払中のスマホを手放す必要は無いし、それまでと同じ携帯電話番号で利用し続けられるのが通常だと思われます。少なくとも、スマホ端末代金を分割払い中に自己破産の申立をしたからといって、携帯電話の契約自体が強制解約になるなどということは無いはずです(自己破産申立をする時点で、月々の携帯電話料金の支払いが滞っている場合を除く)。

新たにスマホの分割払いはできるのか

自己破産をした場合には個人信用情報にその旨の記録がされますから、7年程度は新たにローンを組んだりクレジットカードを作ったりできなくなります。

スマホの端末代金を分割払いで購入するのは割賦販売契約でありショッピングローンなどと同様の契約です。よって、自己破産して免責が確定したときから7年程度は、スマホ端末代金の分割払いはできないわけです。

それでも、スマホの端末は中古品など1万円程度で手に入るものもありますから、スマホが壊れてしまったときなどに分割払いができなくても買い換えは可能なはずです。