2018/01/30付、livedoor NEWS に次のタイトルの記事がありました。

「ローンを組んだ年齢が遅すぎた」家を失い借金だけが残った高齢夫婦がアパート暮らし

50代前半のときに3,050万円の35年ローンを組んだが、収入の減少により月々11万円のローン支払いが困難になってしまったということです。50代前半で35年ローンを組んだとしたら、繰り上げ返済をおこなわなければ、完済時には80歳を超えています。

80歳を超えるまで収入が減らない前提だったとすれば、そもそもの借入れが無謀だといえますし、このような住宅ローンの融資がおこなわれること自体も問題です。しかし、現実にこのような住宅ローンを組んでしまっている例も決して珍しくないのでしょう。

この記事の事例では、購入した住宅を任意売却しています。住宅ローンの残債務が2,400万円で、住宅の売却価格が約1500万円だったので、売却後も900万円の債務が残ります。そこで、家賃5万円のアパートで暮らしながら、この900万円の支払いをしているとのことです。

この夫婦は夫が70歳代、妻が60歳代だそうです。夫婦共にパートに出て収入を得ているとのことですが、この歳で900万円のローンを支払っていくのは大変なことでしょう。

このようなケースであれば、住宅を売却しても残る900万円の債務を支払い続けていくより、自宅を手放すことを覚悟した時点で自己破産の申立を検討するのが通常だと思われます。住宅ローン以外の借金が無いとしても、住宅ローン自体の支払いが不可能なのであれば自己破産することも認められます。

住宅ローンの残債務が2,400万円で、住宅の売却価格が約1500万円であるならば、明らかにオーバーローンの状況にあります。この場合、住宅を手放す前に自己破産申立てをしても、破産管財人が選任されず同時破産廃止になる可能性が高いでしょう。

自己破産などせず借りたものは絶対に返すのだという意思があり、現実に返せるだけの収入があるならば返済をしていくというのも正しい選択だといえるのかもしれません。しかし、支払いを継続していくのが困難だと思われる場合は、専門家に相談して自己破産をすることも検討すべきでしょう。

この記事では、住宅ローン破綻の原因を「住宅ローンを組んだ年齢が遅すぎた」からだとしています。たしかに、高齢になれば収入が減るのが通常ですから、80歳を過ぎるまで同額の支払いをしていくのが困難な場合も多いでしょう。しかし、そんなことは最初から予想が付いたはずです。

また、もっと若いときに住宅ローンを組んだとしても、35年という長期の支払期間中には何が起こるか分かりません。結局、住宅ローンを組むとしても頭金を多く用意してからにするなどして、出来るだけ短期間の借入にすることも大切です。

銀行が貸してくれるからといって、その住宅ローンを完済できるとは限りません。住宅ローンを組むときは本当に返していけるのか、失業や収入の減少などがあったときはどうするのかをよく考えてからにするべきでしょう。

けれども、すでに住宅ローンの借入れをしてしまっていて支払いが困難になっているならば、少しでも早く専門家(弁護士、司法書士)に相談して対応を検討する必要があります。