裁判所へ個人再生・自己破産の申立てをする際には、銀行等の預貯金について、過去2年分の通帳写しまたは取引明細書を提出します(必要期間については裁判所により異なる場合あり)。また、預金通帳については、最終記帳日が申立ての直前(少なくとも裁判所受付日から2週間以内程度)のものが必要となるでしょう。

通帳を紛失しており、銀行等の窓口で取引明細の発行依頼をする場合などには、申立日直前のものを用意するのは難しいこともあります。そのようなときには、取引明細とあわせて、申立日直前に記帳した通帳の写しを提出する方法があります(取引明細の発行依頼時に、通帳の再発行もしておく必要あり)。

または、ネットバンキングの利用をしている場合には、パソコン経由で申立日直前の取引明細をプリントアウトすることも可能でしょう。ネットバンキングによれば、過去の取引明細も表示することができるので、銀行窓口に行かなくとも2年分の取引明細を手に入れられる場合もあります。

最近では、口座開設時から通帳が発行されていないケースも見受けられます。この場合、取引明細はネットバンキングにより確認することが前提となっており、過去2年分の取引明細をいつでも見ることができるはずです。これならパソコンとプリンターがあれば、すぐに取引明細を出力することができますが、スマホしかないというような場合が問題です。

もしも、スマホによりネットバンキングを利用した場合に、取引明細をPDFで保存できるようになっていれば、ダウンロードしたPDFファイルをメールにより転送すれば、司法書士や弁護士の事務所でプリントアウトすることが出来るでしょう。

取引明細のPDFによるダウンロードが出来ない場合、司法書士や弁護士の事務所にあるパソコンからネットバンキングにログインすることにより取引明細を出力することも考えられます。ただし、そのためにはログインに必要なIDやパスワードを事前に確認しておくことが必要です。

上記のような方法がとれない場合に、スマホからネットバンキングを利用して表示した取引明細のスクリーンショットを、メールにより転送する方法を考えるかもしれません。しかしこの方法では、銀行及び支店名、口座番号等の必要な情報がちゃんと含まれないことが多いので、裁判所へ提出する取引明細とはならないでしょう。

原則としては、従来のような紙による預金通帳が存在し、その2年分のコピーを取るのがベストなのですが、最近では通帳が発行されないケースも多いので、個人再生や自己破産の申立てをする際には少し厄介なこともあります。

このことは、電話料金の明細などでも同様で、かつては紙による請求書が毎月郵送されてきていたのが、現在ではウェブで明細を確認するようになっているケースも多いため、利用明細を手に入れるのに苦労することがあります。

通常はウェブサイトから取引明細をPDFでダウンロードできるようになっているはずですが、ネットをうまく使いこなすことが出来ない人には難しい話です。

時代は完全にペーパーレス化に向かっていますが、個人再生自己破産の申立てをする際の提出書類については、まだしばらく紙によるしかないでしょう(紙の資料をPDF化するなどして提出する方法も考えられますが、それには紙による書類が存在するのが前提となります)。

今後は、提出書類の準備に苦労することがさらに増えそうです。それでも、裁判所からの指示に従い確実に書類を準備しなければなりませんから、なんとか工夫していくしかありません。