債権の時効期間は10年であるのが原則ですが、商行為によって生じた債権(商事債権)である場合には、時効期間が5年となります。

そのため、株式会社である銀行、消費者金融、クレジットカードからの借金の時効期間は5年ですが、商法上の商人には当たらないとされる信用金庫からの借金の場合には時効期間が10年とされる場合もあります。

銀行、信用金庫などの消滅時効期間(目次)
1.銀行からの借金の時効期間は5年
2.クレジットカード、消費者金融からの借金
3.信用金庫・信用組合・農協など
4.確定判決によって確定した債権の場合

1.銀行からの借金の時効期間は5年

銀行は株式会社でなければなりません(銀行法4条の2)。そして、会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は商行為とされます(会社法5条)。

したがって、銀行からの借金については全てが商行為によって生じた債権(商事債権)であり時効期間は5年となります。

2.クレジットカード、消費者金融からの借金

クレジットカードを発行しているのは全て会社でしょうから、クレジットカードによる借金(ローン、キャッシング)についても、全てが商事債権であることになり時効期間は5年です。

また、消費者金融についても会社であるのが通常ですので、この場合の時効期間は5年です(ただし、個人が営んでいる貸金業者の場合には、その金銭の貸付行為は商行為に当たらないため時効期間は10年です)。

3.信用金庫・信用組合・農協など

信用金庫、信用組合、農業協同組合(農協)、労働金庫については、商人にあたらないため、その貸付行為も商行為にあたらないとされています。

株式会社組織の営利法人である銀行とは違い、信用金庫、信用組合、農協、労働金庫などは非営利法人だとされているわけです。そのため、信用金庫、信用組合、農協、労働金庫などからの借金についての時効期間は10年であるのが原則です。

ただし、債務者が商人である場合には、商人に対する貸付は商事債権となるため時効期間が5年となります。たとえば、会社が債務者である場合は全て商事債権です。また、個人であっても事業者であり、事業資金としての借入をしたのであれば商事債権となります。

しかしながら、事業を営んでいる個人が債務者の場合であっても、その借金が商売とは全く関係の無い住宅ローンなどであれば事業資金ではないものとされるでしょう。

このように、信用金庫、信用組合、農協、労働金庫からの借金については、債務者が商人であるかどうかや、貸付の目的によって、時効期間が5年か10年のいずれになるか判断されるわけです。

4.確定判決によって確定した債権の場合

確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年となります。また、裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても同様に時効期間が10年となります(民法174条の2第1項)。

したがって、通常は時効期間が5年とされる商事債権であっても、訴訟が提起され、確定判決により確定した場合には時効期間が10年となります。また、裁判上の和解、調停、その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した債権についても、同様に時効期間が10年となります。

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