主債務について消滅時効が完成し、消滅時効の援用をしたときには、主債務とともに保証債務も消滅します。この消滅時効の援用は、主債務者がおこなえるのは当然として、保証人によっておこなうこともできます。

保証人による消滅時効の援用

主たる債務について消滅時効が完成した場合、保証人は、主たる債務の消滅時効を援用することができます。そして、主たる債務が時効により消滅すれば、附従性により保証債務も消滅します。また、主債務者が消滅時効を援用しないときでも、保証人は自ら主債務の消滅時効の援用をすることができます。

上記により、借り主(主債務者が)消滅時効の援用をすれば、保証人についての保証債務も消滅します。また、主債務者が消滅時効の援用をしないときには、保証人が主債務の消滅時効を援用することができます。この場合も、主債務、保証債務の両方が消滅することになります。

保証債務と時効の中断

主たる債務について時効の中断事由があった場合には、附従性により保証債務についても時効が中断します。また、主債務者に対し確定判決を得て時効期間が10年に延長された場合、保証債務の附従性により、保証人に対する時効期間も10年に延長されることとなります

民法457条1項は、主たる債務が時効によつて消滅する前に保証債務が時効によって消することを防ぐための規定であり、もっぱら主たる債務の履行を担保することを目的とする保証債務の附従性に基づくものであると解されるところ、民法174条の2の規定によって主たる債務者の債務の短期消滅時効期間が10年に延長せられるときは、これに応じて保証人の債務の消滅時効期間も同じく10年に変ずるものと解するのが相当である。そして、このことは連帯保証債務についても異なるところはない(最高裁昭和43年10月17日判決)。

これとは反対に、保証人に時効中断事由があっても、主たる債務の時効は中断しません。ただし、連帯保証人に対する請求は、主たる債務についても時効中断の事由となります。