債務整理は、ローン、キャッシングなどによる借金や、クレジットーカードによるショッピングの支払いを、当初の約束どおりに出来なくなったときにおこなうものです。

債務整理の対象になるのは、銀行、クレジットカード会社、消費者金融などで、お金の借り入れだけでなく、クレジットカードのショッピングリボ払いなども含まれます。

また、住宅ローンも含めての債務整理としては、自宅を保有しながらの債務整理が可能な個人民事再生、自宅を手放すのが原則となる自己破産があります。

1.債務整理の種類

2.任意整理の方法

2-1.任意整理が可能であるかの判断

2-2.受任通知の発送時期

2-3.毎月の支払い方法

2-4.任意整理の和解内容

2-5.任意整理が困難な債権者がある場合

1.債務整理の種類

弁護士や司法書士に依頼して債務整理をおこなう場合、任意整理、個人民事再生、自己破産のいずれかを選択するのが通常です。

この3つの債務整理手続きのうち、個人民事再生と自己破産は裁判所への申立てが必要となる法的な債務整理手続きです。任意整理は、弁護士または認定司法書士が依頼者(債務者)の代理人となり、債権者と直接の和解交渉をおこなう私的な債務整理手続きです。

任意整理では、原則として現在の債務元本の全額を支払う必要があります。任意整理をする時点での借金の元本が50万円だったとすれば、その50万円の全額について支払いをしなければならないわけです。

もし、分割であっても債務元本の全額を支払っていくのが困難だという場合には、個人民事再生、自己破産についての検討をすることになります。個人民事再生、自己破産の、大まかな選択の仕方は次のようになります。

まず、住宅ローンがある場合に、ローン支払中の自宅を手放さずに債務整理をしたいというときには、最初に個人民事再生を検討します。そして、個人民事再生による債務整理が困難だと判断されたときは、住宅を手放すことを覚悟の上で自己破産を選択するしかありません。

住宅ローンが無い場合、住宅ローンがあるが住宅は手放してもよいというときには、自己破産が第一の選択肢となります。ただし、住宅ローンが無い場合であっても、借入の内容や債務者本人の考えによっては個人民事再生を選ぶこともあります。

2.任意整理の方法

任意整理では、弁護士または認定司法書士が依頼者(債務者)の代理人となり、債権者と直接の和解交渉をおこないます。相手方(債権者)との和解が成立したら和解契約書を作成し、その内容にしたがって支払いをしていきます。

ここでは、任意整理の基本的な解説だけでなく、実際に手続きをおこなう際の細かな話も含まれています。かなり難しいところもあるかもしれないので、わからないことなどあればお気軽にコメント欄からご質問ください。

2-1.任意整理が可能であるかの判断

任意整理では、現在の債務元本の全額の支払いをすることになるのが通常です。よって、現在の債務元本の全額を、3年(36回)から5年(60回)程度までの分割により支払えるのが最低条件です。

たとえば、現在の債務が4社からの合計200万円だったとします。この場合、合計60回払いで和解するとしても月々の支払額は35,000円弱となります。したがって、5年の間ずっと毎月35,000円を用意できるならば、任意整理を選択することが可能だというわけです。

ただし、この後に解説していきますが、債権者によっては60回払いなどの長期間での支払いには応じないとか、また、和解時までの利息損害金を加算しなければ和解に応じないために総支払額が増えてしまったりするなど、個々のケースによっては単純に判断できないこともあります。

安易に任意整理を選択してしまったとして、途中で支払いが困難になってしまった場合でも、それから、個人民事再生や自己破産をおこなうこともできます。しかし、それでは余計に時間や費用がかかってしまいますし、初めから任意整理を選ぶべきで無かったかもしれません。

そのような判断ミスを防ぐためにも、債務整理方法の選択をするに当たっては、経験豊富な専門家に相談して決定するようにしてください。

2-2.受任通知の発送時期

弁護士または認定司法書士に任意整理を依頼し、弁護士または認定司法書士が債権者へ受任通知を送った時点で、債権者から債務者本人に対する督促行為は止まります。したがって、この時点で月々の支払いに追われる日々からは解放されるわけですが、受任通知をいつ発送するかは依頼する事務所により異なります。

委任契約を締結した時点ですぐに受任通知を発送してくれるのが依頼者にとってベストですが、報酬を分割払いにする場合の初回振込をした後しているケースもあるでしょう。また、報酬全額の支払いを終えてからで無いと受任通を発送しないという弁護士等は少ないと思われますが、報酬の分割払いを希望する場合にはそのような事務所に依頼するのは避けましょう。

受任通知を発送して貰えないと、債権者からの督促が止まりませんし、支払いを停止することもできないからです。

2-3.毎月の支払い方法

支払いは和解契約書に書かれている債権者の銀行口座へ自分で毎月振り込みしていく場合と、毎月の支払いは依頼した弁護士や認定司法書士へおこない、その弁護士や認定司法書士が債権者への毎月の振込をしていく場合とがあります。

弁護士や認定司法書士が毎月の振込代行をする場合、1回当たり1社1000円などの手数料がかかるのが通常だと思われるので、面倒でも自分で各債権者への振込をしていくほうが費用の節約になります。

債権者への支払いを自分でするのか、弁護士や認定司法書士が振込代行するのかは、各事務所によって違うので債務整理の依頼前に確認をするのがよいでしょう。

2-4.任意整理の和解内容

任意整理では、現在の債務元本の全額の支払いをすることになるのが通常です。分割払いの場合は当然のこととしても、たとえ一括払いであっても元金を下回る金額での和解に応じる債権者はほとんど無いと思われます。

和解金額は現在の残元金そのままであるのがベストですが、債権者によっては受任通知発送時までの利息や損害金を付加した金額で無いと和解に応じないとか、さらには和解日までの利息損害金を要求してくることもあります。

この和解金額については債権者ごとの社内規定によって異なりますが、交渉次第では相手方(債権者)の譲歩を引き出せる場合もあるので、依頼する専門家(弁護士、認定司法書士)によって和解金額が変わってくる可能性もあります。

また、任意整理では和解後の利息はかからない(利息0%)とする和解契約を締結するのが通常です。たとえば、任意整理することによって50万円で和解し、毎月の支払額が1万円だとすれば、1万円を50回の総額50万円で支払いが完了するわけです。

任意整理では、月々の支払額を無理なく払える金額に設定するのとともに、今後の利息を付けないものとする和解契約を締結することで、月々の支払額も最終的な支払総額も少なくなるわけです。そのため、任意整理をすることで、無理なく借金を完済することが出来るようになるのです。

ただし、債権者によっては、和解後の利息(将来利息)を付けないと和解に応じないと主張してくることもあります。さらには、一括払いでないと和解しないとか、分割払いであってもごく短い回数で無いと和解に応じないという会社も存在します。

2-5.任意整理が困難な債権者がある場合

どの債権者がどのような主張をしてくるかはだいたい決まっています。同じ会社がその時どきで違う対応をしてくるということは通常ありません。よって、債務整理の経験が豊富な専門家であれば手続きを開始する前に見通しを立てることが可能です。

無理なく支払える月額での和解に応じてくれない債権者がいる場合でも、それが1社であれば他社の支払い額を調整するなどして任意整理が可能かもしれません。また、粘り強く交渉をすることで相手方の譲歩を引き出せるかもしれません。

けれども、いくら頑張って交渉しても、支払い可能な月額での和解が出来ない場合や、そもそも分割払いでの和解が不可能である場合には、任意整理を断念せざるを得ないときもあります。そのような場合には、個人民事再生、自己破産を検討することになります。