簡易裁判所から支払督促が送られて来たというご相談が多くなっています。

支払督促は簡易裁判所から特別送達という郵便によって送られてきます(送り主は簡易裁判所ですが、配達をするのは普通の郵便局員です)。

配達時に不在だったときは郵便受けに不在票が入っているはずです。この特別送達を受け取り拒否しても裁判手続きから逃れることはできませんから、必ず保管期限内に受け取るようにしましょう。

なお、今回のご相談は債権者「パルティール債権回収株式会社」による支払督促についてです。当初の借入先は株式会社アプラスでしたが長期に渡り支払いが滞っているうち、アプラス株式会社からパルティール債権回収株式会社に債権譲渡がなされたものです。

債権者が別の会社であっても手続きとしては同様ですので、同じように対応すれば大丈夫です。ただし、少しでも不安がある場合には、すぐに専門家(弁護士、または認定司法書士)に相談することをお勧めします。

1.督促異議の申立て

2.消滅時効の援用

3.時効の成立を認めない場合

1.督促異議の申立て

支払督促を受け取ったら必ず「督促異議の申立て」をします。

督促異議の申立てをしないでいいのは、相手方の請求を全面的に認めて、支払督促申立書の「請求の趣旨」に書かれている金額をすぐに支払える場合のみです。

すでに消滅時効が成立しているとして時効の援用をおこなおうとする場合や、または分割による支払いを希望するときであっても、まずは督促異議の申立てをします。

裁判所から送られてきた書類の中に「督促異議申立書」が入っているのが通常なので、ご自分で督促異議申立てをしようとする際には、その用紙に必要事項を記入するのがよいでしょう。

ただし、督促異議申立て、および消滅時効援用を専門家に頼もうとするのであれば、ご自分で督促異議申立書を作成する必要はありません。事前の準備は不要ですから、すぐに専門家へ相談するようにしてください。

・簡易裁判所から送られてきた督促異議申立書の例

(1)督促異議申立書(支払督促用)

(2)注意書(支払督促送付時)

2.消滅時効の援用

督促異議の申立てをすると、通常の訴訟に移行しますから、後日に裁判の日時などを知らせる書類(期日呼出状)が送られてきます。消滅時効が完成しているとして時効の援用をするならば、その訴訟においておこなうことも可能でしょう。

けれども、訴訟が進行するのを待つこと無く、督促異議申立てをするのと併せて消滅時効援用をすることでもっと迅速な解決が期待できます。裁判所へ督促異議申立てをするのと同時に、債権者に対して消滅時効援用をするわけです。

債権者が消滅時効の完成を認める場合には、早い段階で訴訟を取り下げてくることも多いです。つまり、督促異議申立てにより訴訟へ移行するものの、実際に口頭弁論期日が開かれる前に訴えが取り下げられることで終結するというわけです。

債権者としても消滅時効の完成を認める場合には、わざわざ裁判所へ出向いても時間の無駄ですから、すぐに訴えを取り下げてくるのです。訴えの取下げがあったときには、それで手続きは完了です。

3.時効の成立を認めない場合

督促異議申立てと併せて消滅時効援用をしたものの、相手方(債権者)が消滅時効の成立を認めない場合には、実際に裁判がおこなわれることになります。

この場合でも、裁判所での口頭弁論期日の前に債権者との話し合いがまとまれば、裁判所へ出向くことなしに和解を成立させることも可能です。

相手方との交渉をご自分でおこなうのは難しいでしょうから、代理人(弁護士、認定司法書士)を立てて交渉をするのが通常です。

債権者から支払督促の申立てをされた場合でも、督促異議申立てと消滅時効援用をすることにより、すんなりと解決に至ることが出来るケースであれば代理人は不要かもしれません。

しかし、どんな結末が待っているのか事前には分からないのが通常ですから、支払督促の申立てをされたときには専門家に相談するのが間違いありません。

簡易裁判所からの支払督促の申立てに対し、債務者の代理人となって対応が出来るのは弁護士と認定司法書士に限られます。その他の専門家(行政書士など)に相談しても、代理人として相手方や裁判所とのやりとをして貰うことはできないのでご注意ください。

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