借金の支払いが滞っているうちに、債権者(消費者金融、クレジットカード会社、債権回収会社など)から、支払督促の申立てをされることがあります。

支払督促は簡易裁判所から郵便(特別送達)により送られてくるので、請求されている金額を一括で支払う場合を除き、その送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをするべきです。

しかし、支払督促を受け取ってから、督促異議申立てをしないうちに2週間が経過してしまった場合であっても、すぐに諦めてしまう必要はありません。

仮執行宣言付支払督促の後の督促異議申立て
1.督促異議申立てはいつまですることが出来るのか
2.期限内に督促異議申立てをしなかったとき

1.督促異議申立てはいつまですることが出来るのか

債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、債権者の申立てにより、裁判所書記官が仮執行宣言を発付して、仮執行宣言付支払督促を債務者に送達します。

この場合であっても、仮執行宣言付支払督促正本を受け取った日の翌日から数えて2週間内に督促異議申立てをすることができます。

つまり、最初に支払督促を受け取ったときから2週間が経過してしまったとしても、その後に送達されて来る「仮執行宣言付支払督促を受け取ったときから2週間以内」であればまだ督促異議申立てをすることは可能であるわけです。

ただし、仮執行宣言付支払督促が送達された時点で、債権者は強制執行をすることが可能となっています。そして、督促異議の申立てをしただけでは強制執行を止めることはできません。債権者による強制執行を止めるためには、督促異議の申立てとは別に、強制執行停止の申立てをする必要があります。

なお、督促異議申立てをしたら通常の訴訟へ移行するのは、仮執行宣言付支払督促の前に督促異議申立てをしている場合と同様です。

2.期限内に督促異議申立てをしなかったとき

仮執行宣言付支払督促正本を受け取った日の翌日から数えて2週間内に督促異議申立てをしなかった場合には、仮執行宣言付支払督促を争うことはできなくなります。もしも、期間経過後に督促異議申立書を裁判所に提出しても却下されてしまいます。

ただし、ここまで解説してきたとおり、最初に支払督促が送られてきたときから2週間以内という期限だけでなく、次に仮執行宣言付支払督促が送られてきたときからも2週間は督促異議の申立てができるわけです。

どうしたらいいのか分からないという場合には、早急に専門家(弁護士または認定司法書士)に相談するようにしてください最終の期限(仮執行宣言付支払督促正本を受け取った日の翌日から数えて2週間)を過ぎてしまったら、専門家であっても仮執行宣言付支払督促を争うことはできなくなってしまいます

民事訴訟法 第393条(仮執行の宣言後の督促異議)
仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間を経過したときは、債務者は、その支払督促に対し、督促異議の申立てをすることができない。