クレジットカードによるキャッシング(ローン・リボ払い)であっても、利息制限法の上限利率(借入残高が10万円以上100万円未満なら年18%)を超える利率での借入をしていたときには、過払い金が発生していることはあります。この場合、クレジットカード会社に対して過払い金の返金を請求することができます。

一方、クレジットカードのショッピングをリボ払いにした場合には、その利用残高に対して毎月利息がかかります(ショッピングの1回払いでは利息や手数料はかかりません)。ただし、ショッピングのリボ払いについては、利息制限法の上限利率を超える高金利が適用されていることはありませんから、過払い金が発生することはありません。

クレジットカードの過払い金請求とショッピング利用残高(目次)
1.クレジットカードキャッシングリボの過払い金請求
2.キャッシングの過払い金のみを返金して貰えるか
3.ショッピング利用残高の方が多い場合

1.クレジットカードキャッシングリボの過払い金請求

クレジットカードで、キャッシングやローンのリボ払いと、ショッピングリボ払いの両方を利用していた場合、過払い金の計算はどのようにするのでしょうか。

利息の再計算をする際には、キャッシング・ローンの取引のみについての再計算をおこないます。ショッピングリボ払いについては再計算の対象とせず、現在の利用残高がそのまま借入元本であることになります。

キャッシング・ローンのリボ払いが再計算の結果、過払いになっていたとします。このとき、ショッピングの利用残高があれば、キャッシングの過払いとショッピングの利用残高を差し引きして過払い金を算出します。

たとえば、キャッシングの過払い金が20万円、ショッピングの利用残高が10万円なら、差し引きした10万円が過払い金となり、この10万円について返金を求めることができるわけです。

2.キャッシングの過払い金のみを返金して貰えるか

それでは、クレジットカードのキャッシング・ローンが過払いになっているときには、ショッピングの利用残高をそのままにして、過払い金の返金を受けることはできないのでしょうか?

答えは、ショッピングの利用残高があるままで、キャッシングの過払い分を返金してもらうことはできません。この場合の、カード利用者と、クレジットカード会社との関係は次のように考えます。

キャッシングの過払い金については、カード利用者がクレジットカード会社に対して支払いを求める立場です。つまり、カード利用者が「債権者」、クレジットカード会社が「債務者」です。

ショッピングの利用残高については、上記とは反対の関係です。

つまり、クレジットカード会社がカード利用者に対して支払いを求める立場です。つまり、クレジットカード会社が「債権者」、カード利用者が「債務者」です。

上記のような関係にある場合、それぞれの債務と債権とを相殺することになります。

2人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる(民法505条1項本文)。

よって、過払い金の返金を求められるのは、キャッシングの過払い金の方が、ショッピングの利用残高より多い場合のみあることになります。

この場合でも、クレジットカード会社が、ショッピング利用残高により相殺すること無しに、過払い金の返金をすることは可能です。ただし、過払い金の返金をした上で、そのままクレジットカードのショッピング利用を継続させるクレジットカード会社はまず存在しないでしょう。

3.ショッピング利用残高の方が多い場合

キャッシングが過払いになっている場合には、その過払い金がショッピング利用残高の支払いにまず充てられます。そして、ショッピングの利用残高よりもキャッシングの過払い金が多いときには、ショッピングの利用残高がゼロになってもまだ過払い金があることになります。この場合には、過払い金の返金を受けることができるわけです。

つまり、過払い金請求の手続きをする前には、ショッピング50万円、キャッシング(リボ払い)50万円の、合計100万円の利用残高があったとします。このうち、キャッシング分を法定利率で再計算すると100万円の過払いになったとします。

この場合には、ショッピング利用残高50万円を完済しても、まだ50万円の過払い金が残ることになりますから、この過払い金の返還請求ができるわけです。

けれども、ショッピングの利用残高が50万円、キャッシングの過払い金が30万円だった場合には、差し引きしてもショッピング分の利用残高が20万円残りますから、過払い金を返金してもらうことはできません。

この場合には、カード利用者が残りの20万円を支払うとの内容の和解契約をすることになるでしょう。これは、いわゆる債務整理(任意整理)の手続きですから、信用情報にも事故(異動)の情報が記録されてしまいます。

クレジットカード会社に過払い金請求をしようとするときは、思いもかけずに残高が残って債務整理になったりしないよう、経験豊富な専門家(認定司法書士、弁護士)に相談するのがよいでしょう。

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