新型コロナウイルスの感染拡大が収束の兆しを見せぬまま、すでに1年以上が経過しています。東京都では、緊急事態宣言の前段階に位置付けられる「まん延防止等重点措置」が4月12日から5月11日までの30日にわたり適用される予定です。

そのような状況下にあって、勤務先の業績悪化の影響で収入が減少したことにより、住宅ローンの返済が困難になる方も増えています。2021年4月8日付の日経新聞電子版には『「住宅ローンが返せない」5万人超 大震災時の5倍に コロナ長期化が影響 新規も増え、リスク増す』とのタイトルの記事がありました。

住宅ローンの返済に窮する人が増えている。金融機関から返済猶予などの救済を受けた人は5万人を超え、東日本大震災の際の5倍に達した。新型コロナウイルスの影響で収入減が広がっているためだ。一方、新規ローンの融資額は伸び続け、一部の住宅価格はバブル期以来の水準に。返済困窮者の増加と新規ローンの膨張が同時に進む構図に陥っている。

住宅ローン以外にはとくに借金がないというような場合であれば、記事にもあるようにまずは借入先の銀行などへ返済猶予の相談をすべきでしょう。

住宅ローンの返済をするために、カードローンなどによる借金をするのは絶対に避けるべきです。すぐに収入が回復するのが確実であるような場合を除けば、月々の収支がマイナスの状況で借金をしてしまえば、月々の返済のために更に収支が悪化してしまうのは間違いありません。

住宅ローンの支払い猶予を受け、月々の返済額を一定の期間抑えることができれば、収入が回復した後にはまた普通に住宅ローンを支払っていくこともできるでしょう。

それでも、支払い猶予の期間後も通常どおりに返済していく目処が立たない場合、住宅を手放して残債務を清算するとの選択肢も検討するしかありませんが、住宅を売却してもローンを完済できないときには解決が困難なこともあります。

また、住宅ローン以外にも借金があるようなときには、個人再生の手続きによって住宅ローン以外の債務を圧縮することにより、問題なく住宅ローンの支払いが可能になる可能性もあります。

住宅ローン借入先の金融機関に相談するだけでは解決が困難である場合、債務整理の専門家である弁護士や司法書士にするのがよいでしょう。まずは、専門家に相談したうえで、解決のためにどのような方法があるかを検討するのです。

住宅ローンがオーバーローンの状況にあるとき、任意売却を取り扱う不動産業者などに相談する方もいますが、ただ不動産を手放しただけで望んだような結果は得られなかったというケースも多いようです。

繰り返しになりますが、住宅ローンの支払いが困難で、借入先の銀行などに相談しても解決が困難である場合には、債務整理の専門家である弁護士や司法書士に相談するようにしましょう。