最近になって立て続けに、「司法書士事務所に任意整理を依頼した(または、依頼しようとしている)のだけれども、司法書士と直接会って相談ができない」とのお話しを耳にしました。

依頼者の側から、司法書士事務所へ行かずに任意整理の依頼がしたいと希望しているのでは無く、「依頼時に事務所へ来てもらう必要は無い」と言われたり、さらには、依頼した後に「司法書士と直接会って説明が聞きたい」と言っても断られたというのです。

なお、司法書士であっても任意整理の手続がおこなえるのは、簡裁訴訟代理関係業務についての法務大臣の認定を受けた「認定司法書士」のみです。また、認定司法書であっても、依頼者(債務者)の代理人となって任意整理をおこなえるのは、借入の元金が140万円以下の債権者に限られます。

よって、以下はすべて司法書士と書きますが、認定司法書士にその代理権の範囲内の手続を依頼した場合であることが前提です。

まず大原則として、任意整理など債務整理の手続を依頼する際には、司法書士と実際に会って相談をするのが当たり前のことだとお考えください。電話やメールによる相談だけで債務整理を依頼するのが絶対に駄目だというわけではありませんが、「依頼者の側から会って話が聞きたいと言っても断られる」というようなのは論外です。

また、相談の最初や最後に少しだけ司法書士が顔を見せて、後はスタッフ(事務員)が全て対応するというのも普通ではありません。相談の最初から最後まで司法書士本人が対応するのが当然のことであり、その時間も取れないくらいその司法書士が忙しいのだとしたら、依頼した後にも事務員に仕事を丸投げかもしれません。

そもそもの話として、債務整理の業務は司法書士や弁護士にとって効率よく儲かるような仕事ではありません。それを事務員に任せて効率を上げるようなやり方をしたならば、その無理な効率化の被害を受けるのは依頼者です。

任意整理を依頼しようとするときには必ず司法書士と直接会って相談をするべきです。自分が事務所へ行くといっても、電話だけで大丈夫だというようなところへは依頼すべきではありません。

また、依頼する前には司法書士本人に全て納得できるまで説明を受けるべきです。質問を最後まで受け付けてくれないような司法書士には依頼しない方がいいです。誠意を持って債務整理業務に取り組んでいる司法書士であれば、ご相談者に完全に納得していただいてから依頼を受けようとするのが当然です。

あまりにも当たり前の話だと思うのですが、そうではない司法書士が存在するようなので注意喚起した次第です。