最近では、賃貸マンションやアパートを借りる際に、家賃保証会社を利用するのが普通になっています。

借り主が家賃保証会社を利用していれば、家賃の滞納があった場合でも、貸し主(大家)は家賃保証会社から支払いを受けることができます。

家賃保証会社を利用すれば連帯保証人を付ける必要は無いのが通常ですし、借り主にとっても面倒がなくて良いのだろうと何となく思っていました。

しかし、家賃保証会社が幅広く利用されるようになったことで、家賃滞納が増えているという実体が問題になっているようです。

家賃保証は、ジャックス、オリエントコーポレーション、アプラス、セディナなどクレジットカード会社(信販会社)がおこなっているものもあります。これらの会社の場合には、クレジットカードを作るのと同じような審査がありますから、CICなど信用情報に問題があると家賃保証を受けることもできません。

ところが、上記のようなクレジットカード会社によるのではなく、独立系の家賃保証会社については審査が大幅に甘くなっているというのです。

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家賃保証会社の審査も競合が多いので大甘だ。2016年に国土交通省が任意の登録制度を作るまで監督官庁が明確でなかった家賃保証会社は、許認可要らずで設立可能。全体で何社あるのかもわからない業界である。消費者金融で取り立てをしていた人が立替えた家賃を回収しているケースが多いと聞けばおおよそ、どのような業界かは推察できよう。

信用情報がいわゆるブラックの状態になっている人であっても、独立系の家賃保証会社であれば利用できることもあります。そのこと自体は、やむなく債務整理をした経験があるような人でも、家賃保証を受けられるという意味で助けられる場合もあるでしょう。

しかし、多くの保証契約を得て保証料を得るために審査を甘くして、いざ家賃滞納があった際には強引な取立で回収すれば良いという保証会社が多いというのです。

上記の記事では「消費者金融で取り立てをしていた人が立替えた家賃を回収しているケースが多い」とあります。消費者金融については金融庁が監督しており、強引な取立等をおこなった場合には業務停止などの強力な処分がなされますから、今では悪質な取立行為がおこなわれるケースはほとんど無くなっています。

これに対して、家賃保証会社についてはまだ無秩序といっても良いような状況があるわけですから、強硬な回収行為がおこなわれているのも当然といえます。

賃貸物件を借りるとき、自分で家賃保証会社を選ぶことは出来ないのが通常でしょう。どのような家賃保証会社を利用することになっているのかは、その賃貸物件を借りる人が家賃を滞納する可能性が高いかどうかとも関連があるはずです。

借り主の信用状況に問題が無く家賃を滞納する可能性が低いのであれば、クレジットカード会社(信販会社)など審査が厳しい会社の家賃保証を利用するでしょう。

一方、CICなどの信用情報がいわゆるブラックの人でも借りられような賃貸物件の場合には、独立系の家賃保証会社を利用することになっている例が多いのだと思われます。この場合、比較的容易に家賃保証を受けられる代わりに、家賃を滞納してしまうと厳しい取立がおこなわれるようになるわけです。

それでも、連帯保証人を立てることもなく、家賃保証会社を利用することによって、賃貸マンションやアパートを借りられることに助けられる場合もあるでしょう。しかし、家賃保証会社は慈善事業などではありませんから、上記のような実情があるのを知っておくべきです。