過払い金請求ができるのは、最後に返済をしたことによって「完済した時から10年間」です。最後の返済をしたときから10年間が経過してしまうと、過払い金の返金を求める権利が時効によって消滅してしまいます。

この過払い金の返金を受けられる時期について、間違った記述をしているネット記事等を見かけることがあります。

2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行されたことにより、それ以降に借入を開始している場合については、過払い金の発生することが無くなっています。このことを間違って解釈して、「過払い金の返金が受けられるのは2020年6月まで」だと書かれていることがあるのです。

しかし、2010年6月18日というのは、「それ以降に借入を開始した場合には過払い金が発生する可能性が無い」というだけで、「過払い金が時効で消滅する時期とは何の関係も無い」のです。

したがって、2020年6月以降であっても過払い金の返金を受けられる場合はあります。

それは、「2010年6月よりも前に借入を開始していて、最後の返済の時から10年が経過していない場合」です。

たとえば、2010年6月よりも前に借入を開始してて、それからずっと取引(借入、返済)が続いていたとします。そして、最後の返済の時が2018年6月なのであれば、2028年6月まで過払い金の返金が受けられることになります。

誤った記述をしている例として、過払い金請求のデメリットは?ブラックリストにのる?(2018年6月10日 livedoor NEWS)とのタイトルの記事を見かけました。そこには、「過払い金は2010年から10年経過した、2020年まで存在する」との見出しに加え、次のような記述があります。

この「過払い金」は自動的に戻るわけではなく、法律家に手続きをしてもらう必要があります。金利引き直しの対象は10年。つまり今から10年以内の借金に対して差額が出ていれば、過払い金があるということになります。そして、改正貸金業法が完全施行されてからは差額が出なくなっていますから、過払い金は2010年から10年経過した、2020年までしか存在しないということになります。

この記事を書いた方自身が法律を理解できていないせいで、意味の良く分からない文章になっていますが、「過払い金は2010年から10年経過した、2020年までしか存在しない」などということはありません。

過払い金の返金を受けられるのは最後の返済の時から10年であり、取引が続いている限りはいつになっても過払い金が消滅することはありません。

ただし、2010年6月に改正貸金業法が完全施行されるのを先取りして、グレーゾーン金利による貸付をおこなわなくなっていた貸金業者も多いので、過払い金の返金が受けられるのはそのだいぶ前から借入を開始した場合に限られるのは事実です。

過払い金や、その他の法律のことについては専門家が書いたものしか信じるべきではありません。過払い金については、弁護士と認定司法書士のみが代理人として返還請求をすることができます(司法書士は過払い金の元金140万円の場合のみ)。

よって、過払い金についての専門家は、弁護士、認定司法書士のみだといえます。その他の法律専門家が過払い金について何かを言っていたとしても、実際に過払い金の請求手続きをすることは出来ないわけです。

自分の場合に過払い金の返金を受けられるのか分からない場合、早めに専門家(弁護士、認定司法書士)に相談してみることをお勧めします。相談する前に10年間の期限を過ぎてしまったら、過払い金の返金を受けることが出来なくなってしまいます。

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