任意整理は、裁判所などを通すこと無しに相手方と直接交渉することによって、債務の支払方法について和解しようとする手続です。任意整理は、消費者金融、クレジットカード会社だけでなく、銀行カードローンの債務についてもすることができます。

1.銀行カードローンを任意整理するメリット

任意整理では、現在の債務元金を下回る金額での和解をすることは通常できません。また、銀行カードローンでは、利息制限法の制限利率を超えるいわゆるグレーゾーン金利での貸し付けは過去にも行われていないので、任意整理をしても債務の元金が減ることはありません。

それでも、任意整理をした場合には今後の利息がかからなくなるのが原則なので、当初の契約通りに支払っていくよりも総支払額は減ります。また、任意整理では最長60回位までの支払い回数での和解が可能なときもあるので、月々の支払額が減ることも期待できます。

ただし、銀行カードローンは1社当たりの借入額が大きく、もともとの借入利率も比較的低い場合が多いので、任意整理をしてもあまり返済が楽にならないケースもあります。そのようなときは、任意整理以外の債務整理手段である、個人民事再生や、自己破産を検討すべきかもしれません。

それでも、任意整理は最初に検討すべき債務整理手段ですから、支払いが困難だと思ったらお早めに専門家(弁護士、または認定司法書士)へ相談することをお勧めします。

2.銀行カードローンの任意整理手続き

銀行カードローンの契約をするときは、保証会社との保証契約もしているのが通常です。そして、銀行カードローンについての債務整理手続を開始すると、保証会社から銀行に対して代位弁済がおこなわれます。

代位弁済とは、借主(主債務者)に代わって、保証会社が銀行へ全額の返済をすることです。債務整理をしても、銀行は保証会社から全額の支払いを受けられるのですから損をしないわけです。

代位弁済をした保証会社は、銀行に代わって債権者の立場となりますから、任意整理をするときの交渉相手は保証会社となります(任意整理による和解後の支払いも、銀行ではなく保証会社に対しておこないます)。

結局、銀行としては貸し倒れになる可能性を見越して、カードローン契約をする際には、保証会社による保証が受けられることを条件としています。

そして、保証会社としては、一部の保証契約について代位弁済を求められることを前提として保証料を設定しているのですから、銀行カードローンであっても債務整理がおこなわれるのは想定の範囲内であるわけです。

よって、銀行カードローンだから特に任意整理が難しいということはありません。消費者金融や、クレジットカード会社に対するのと同じように、保証会社との間で和解交渉をすればよいだけのことです。

ただし、保証会社から銀行に対して代位弁済がおこなわれる際には、元金に加えて代位弁済のときまでの利息や損害金を加算した金額が支払われています。そのため、任意整理をするときには、銀行との最終取引時点の元金ではなく、少なくとも代位弁済額での和解を求められるものと思われます。

3.おもな銀行カードローンの保証会社

カードローンを積極的に取り扱っていると思われる銀行について、それぞれの保証会社を調べてみた結果は次の通りです(各銀行ホームページでもご確認いただけます)。

なお、ここに掲載した銀行カードローンの利用を推奨するものでは無く、あくまでもカードローンについての広告宣伝を積極的におこなっているであろう銀行を無作為に抽出したものです。

銀行(借入先) 保証会社
三菱UFJ銀行(バンクイック) アコム株式会社
三井住友銀行 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社
みずほ銀行 株式会社オリエントコーポレーション
りそな銀行 オリックスクレジット株式会社
楽天銀行 株式会社セディナ
オリックス銀行 オリックス・クレジット株式会社、
または新生フィナンシャル株式会社
セブン銀行 アコム株式会社
イオン銀行 イオンクレジットサービス株式会社、
またはオリックス・クレジット株式会社