消費者金融やクレジットカードの借金は、最後の借入や返済のときから5年が経過すると消滅時効が成立します。

それでは、最後の取引(借入や返済)のときから5年が経過しているものの、今に至るまでずっと請求が続いていたような場合はどうでしょうか?

毎月など頻繁に督促状が届くわけではないが、数ヶ月に1度や、1年に1度であっても債権者から通知が来ているときに、消滅時効は完成するのかということです。

結論としては、定期的に請求書が送られてきていたとしても、それにより時効が中断することはありません。請求により時効が中断するのは、裁判上の請求である場合に限られるからです。

1.請求による時効の中断

時効の中断事由は、次のとおり民法147条に規定があります。

民法147条(時効の中断事由)
 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一  請求
二  差押え、仮差押え又は仮処分
三  承認

民法147条1号によれば、「請求」により時効が中断すると規定されていますが、この請求は「裁判上の請求」のことを指しています。たんに請求書を送るだけでは駄目で、訴訟や支払督促など裁判上の請求でなければ、時効中断の効力は生じません

また、裁判上の請求をした場合であっても、訴えが却下または取り下げられたときには、時効の中断の効力を生じません(民法149条)。支払督促の場合には、債権者が期間内に仮執行の宣言の申立てをしていなければ時効の中断の効力を生じません(民法150条)。

2.催告と時効中断の効力

上記のとおり、訴訟や支払督促など裁判上の請求でなければ時効中断の効力を生じないのですが、民法153条には「催告」の場合についての規定があります。

第153条(催告)
 催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。

これによれば、消滅時効の完成が迫っている場合などに、内容証明郵便などにより取り急ぎ催告をしておいて、その後、6ヶ月以内に裁判上の請求をすれば時効中断の効力が生じることになります。

ただし、催告だけでは時効中断の効力が生じることはないのであり、結局は、裁判上の請求による必要があるわけです。

また、催告により時効の完成を阻止できるのは1度きりです。つまり、6ヶ月おきに内容証明郵便により催告をおこなっていたとしても、それによって時効期間が延長されていくわけではありません。

したがって、訴訟や支払督促など裁判上の請求をする以外の方法で、現在に至るまでずっと請求を続けていたとしても、それにより時効が中断していることはないといえます。