人が死んでしまった場合でも、その人はこの世に居るという考え方を、ネイティブのインディアンはするのだそうです。風景にも歴史にもすべての物事に対してストーリーがあり、亡くなってもいろいろな形でつながっているという考え方です。これは、日本における現代社会でも通じるものがあるかもしれません。

一方、現実問題としても、負債を抱えている場合に、その人が死んだら終わりというわけではありません。なぜなら、財産だけではなく負債も相続されていくからです。こういったケースには誰しも陥る可能性があるので、最低限必要な知識を持ってちゃんと対処したいものです。

特に、負債を受け継ぎたくないために相続放棄をする場合には、しっかりと手順を踏んでおきたいです。家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出し受理してもらえば、法律上では相続人で無いとみなされるのですから、財産を受け取ることもありませんが負債も法律的に無関係になります。

そんなことは、債権者から見たら関係ないと思うかもしれませんが、そんなことはないです。家庭裁判所が相続放棄申述の受理証明書を発行してくれますから、それを示して債権者に説明すれば大丈夫ですので安心してください。

このときに、絶対にやってはいけないのが、他の相続人との取り決めだけで済ませてしまうことです。たとえば、被相続人に財産が結構あって、同時に負債があるという場合に、他の相続人から「お前はお金に困っていないだろうけど、俺は苦しいから相続を放棄してくれないか」と頼まれることです。

普段から逆らえない関係の兄だったり、自分とその人との経済状況を鑑みて、相続を放棄することに同意したとします。この場合、遺産分割協議書や合意書といった書類に署名押印することになるでしょうが、それは法律的な意味での相続放棄ではありませんから、遺産を受け取ることができなかったのに、負債を払う義務は残ってしまいます。

当然、家庭裁判所のお墨付きもありませんし債権者を納得させることが出来ません。こういった状態にならないように、しっかりと法に基づいた手続きを踏んで置くようにしましょう。それによって余計な身に覚えのない借金などから自分を守ることが出来るのですから。

相続放棄は必ず家庭裁判所で手続きするものだと覚えておきましょう。手続きの方法が分からないときは、法律専門家である弁護士、または司法書士に相談するのが良いです。