1.過払い金請求とは

消費者金融やクレジットカードでキャッシング(借入)する際の金利は、年18%(借入元本10万円以上100万円未満の場合。100万円以上ならば年15%)を超えてはいけないと法律(利息制限法)で決まっています。ところが、平成22年6月18日に改正貸金業法が完全施行される以前は、最高で29.2%(借入元本10万円以上100万円未満の場合)の金利による貸付が行われていました。

しかし、このように18%を超える高金利での契約をしても、18%を超える部分の利息は無効です。つまり、18%を超える金利での借り入れをしていたとすれば、利息を払い過ぎていたことになります(利息の過払い)。そこで、最初に借りたときにさかのぼって、正しい利息(法定金利)で計算し直すことで、過払い分の利息を元本の返済に充てます。

そうすることで、借り入れ元本が減り、時にはマイナスになることもあります。この元本がマイナスになった状態のことを、「過払い金が発生した」とか、「過払いになった」と言うのです。そして、過払い金が発生していれば、その過払い金を返してくれるよう請求します。これが、「過払い金請求」です。

2.完済・解約後の過払い金請求

利息制限法の制限利率を超える高金利での取引をしていて、その返済が完了している(完済している)場合には、取引期間の長短にかかわらず必ず過払い金が発生していることになります。

債務元本が残っている場合には、利息制限法の制限利率による再計算を行う際、まずは払いすぎた利息を債務元本の返済に回します。しかし、完済しているのであれば、当然のことながらそもそも債務は存在しません。

よって、利息制限法の制限利率による再計算によって生じた「過払い利息」は、直ちに「過払い金」となるわけです。

3.完済・解約後の過払い金請求のメリット・デメリット

完済しているのであれば、債務が存在しないわけですから、いわゆる「債務整理」に該当しないのは当然のことです。したがって、信用情報機関に事故情報として登録される(ブラックリストに載る)こともありません。

したがって、完済・解約後の過払い金請求をすることのデメリットはありません。過払い金を請求する権利は、完済・解約してから10年で時効により消滅してしまうことがあります。

もしも、以前に消費者金融や、クレジットカードのキャッシングを利用されていた場合は、専門家(司法書士、弁護士)に相談だけでもしてみるのが良いかも知れません。

なお、自分では完済していると思っていても、相手方(消費者金融、クレジット会社)のシステム上は、わずかに残高が残っていたりすることもあります。その場合、司法書士から相手方に通知を送ることで、一時的に債務整理をしているのと同じ状態になってしまう恐れがあります。

ただし、この場合でも、相手方が過払いになっていることを認めて、その過払い金を返還するとの和解契約が成立すれば、債務整理をしたとの情報は抹消されるので問題ありません。それでも念のため、手続をする前に相手方に連絡をして、解約の手続をしておくのが安心です。