2018/06/25付の livedoor NEWS に『ワケありでも大丈夫?自己破産経験者や無職でも持てるクレジットカード』とのタイトルの記事がありました。
現在では、クレジットカードを保有していないことによって不都合が生じることもあります。したがって、自己破産や債務整理を経験している場合であっても、もう一度クレジットカードを作りたいとの希望を持つ人がいるのは当然といっていいでしょうし、責められるべき話でも無いと考えます。
しかしながら、この記事自体はあまり真に受けるべきようなものでは無い内容も含まれているので、司法書士としての私見を交えながら紹介することにします。
審査の緩さでいえば楽天とアメックスの2つです。アメックスは外資なので日本のCIC(指定信用情報機関)とは関係なく審査されると言われています。米国の大学と一緒で、どちらのカードもとりあえず審査を通して、何か問題があれば利用を停止するわけです
まず、この記事では「自己破産経験者」と「無職」を一括りにしているのがおかしいです。自己破産経験者と、無職の人とでは分けて考えるべきです。
自己破産経験者は審査に通るのか
自己破産をしても、一定期間が経過すれば信用情報から記録が抹消されます。事故(異動)の情報が消えた後には、その時点での職業や収入等の状況により審査がなされるわけですから、自己破産経験者であってもクレジットカードが作れる場合があるのは当然です。
ある程度の年齢なのに信用情報がまっさらなのは不自然との考えもあるでしょうが、審査が厳しくないところならば問題なく通る場合も多いでしょう。
これが、自己破産してから5年以内であってもクレジットカードが作れるという話ならば、特別な情報と言えるかもしれませんが、さすがに信用情報に記録が載っている状態では審査に通らないのでは無いでしょうか。
なお、アメックス(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)もCICの加盟会員ですから、信用情報を確認することは当然可能となっています(CIC加盟会員一覧)。
また、楽天カードは比較的審査が甘いというのは事実であると感じますが、こちらも自己破産してから5年以内にクレジットカードを作成するのは無理だと思います(実際のところは分かりませんので、あくまでも司法書士個人としての予想ですが)。
無職でも作れるカードはあるのか
無職といっても結婚していて配偶者に収入がある場合であれば、クレジットカードの審査に通ることは可能でしょう。たとえば、夫が会社勤めをしている主婦がクレジットカードを作るのは難しくないと思われます。
けれども、年金やその他の収入がある場合は別として、独身で無職の人がクレジットカードを作るというのは殆ど無理なはずです。一時的に無職なのならば就職してからクレジットカードの申込をするべきでしょうし、ずっと無職だというのならば家族カードを作るくらいしか方法は無いでしょう。
そもそも、ずっと無職で頼れる家族もいないというならば、クレジットカードが作れたとしても支払いができるはずありません。
また、会社員やパート・アルバイトなどとして企業に所属していなくとも、何らかの労働によって収入を得ているならばそれは無職ではありません。しかし、フリーや自営業の人がクレジットカードを作るのは難しいという現実はあります。
そのように審査にとおりづらい仕事をしている人が、クレジットカードを作ろうとするときに、比較的審査が甘いクレジットカード会社を探すのは意味があることでしょう。
ワケありな人でも持てるカード?
上記の記事には『両カードはグレーな使い方をするときにも重宝される』との記述の後に、『年収や職業をごまかせる』などとも書かれていますが、そのような行為をおこなうのは絶対避けるべきです。
嘘をついてクレジットカードの入会申し込みをしたことが発覚した際には、クレジットカードが強制解約になるでしょうし、さらには、犯罪行為に該当する恐れもあります。また、支払いができなくなって自己破産申立をするときに、免責不許可事由に該当するとも考えられます。
正直に申告して審査に通らない場合、その会社のクレジットカードを作るのは諦めるしかありません。