人が亡くなるとで相続が発生し、亡くなった人の相続人がその権利や義務を承継することになります。亡くなった人が所有している遺産については、土地や建物などの不動産、預貯金、株式など多くの財産を所有している人もいれば、所有している財産はほとんど無い人もいるなど様々です。

ところで、人が亡くなって相続が開始したら、亡くなった人の相続人は遺産を相続するかどうかをまず決めなければなりません。そして、相続をするか決めるには、亡くなった人が所有をしていた財産の内容によって、相続を承認するか相続を放棄するか決めることになります。

まず、亡くなった人の遺産がプラスの財産だけの場合は相続を単純承認します。相続を単純承認するときにはとくに手続きをする必要はありません。単純承認するのでは無く、限定承認や相続放棄する場合にのみ、家庭裁判所での手続きが必要になるのです。

ただし、相続人が被相続人が亡くなった後に相続財産の全部又は一部を処分した場合は相続を単純承認したものとみなされることになるので注意が必要です。

次に、亡くなった人の遺産がプラスの財産とマイナスの財産が両方ありどちらが多いかわからない場合もあります。この場合、相続することによって取得した財産の限度においてのみ亡くなった人のマイナスの財産を弁済する責任を負うという相続の承認である限定承認をすることができます。

限定承認をする場合は相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出することによって限定承認をする旨を申述しなければなりません。また、相続人が複数いる場合は相続人全員で限定承認をする必要があります。

最後に、亡くなった人の遺産が、プラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合には相続放棄をすることになります。もし、相続放棄をせずに相続を承認してしまったら亡くなった人の借金も相続することになってしまいます。

この場合、相続人は、被相続人が抱えていた借金の支払い義務を背負ってしまうことになります。借金が支払い可能な額であればまだしも、何百万円や何千万円の借金がある場合には、相続人が自己破産するというケースもあります。

相続放棄は亡くなった人の住所地(相続開始地)の管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述をすることになります。相続放棄申述はいつでもできるというわけではなく、被相続人が亡くなったことを知った時から三ヶ月以内にするのが原則です(被相続人の子供、配偶者が相続放棄する場合)。そのため相続が開始して亡くなった人が借金をしていてマイナスの財産のほうが多ければすぐに相続放棄することを家庭裁判所に申述をする必要があります。