誤った名義人に対する所有権移転登記がされている場合に、正しい登記名義人に変更するための登記です。現在の登記名義人を登記義務者、正しい登記名義人を登記権利者として、所有権移転登記をします。

本来は、誤った名義人に対して所有権移転登記がなされているのであれば、その所有権移転登記を抹消した上で、あらためて正しい登記名義人に対して所有権移転登記をすれば良いはずです。

たとえば、XからAに対する売買を登記原因とする所有権移転登記をすべきところ、誤ってXからBに対する所有権移転登記をしてしまったとします。この場合、XからAに対する所有権移転登記を抹消した上で、あらためて、XからBに対する売買を登記原因とする所有権移転登記をすればよいわけです。

しかし、XからAに対する所有権移転登記に続いて、金融機関からの借入れにともなう抵当設定登記がされていたとします。この場合、抵当権者の承諾が無い限り、所有権抹消登記をすることはできません。

このようなケースで、真正な登記名義の回復を登記原因として、AからBに対する所有権移転登記をする必要性が生じるわけです。真正な登記名義の回復によれば、抵当権が付いたままとはなりますが、抵当権者の承諾を得ること無しに所有権移転登記が可能となります。

ただし、真正な登記名義の回復による所有権移転登記は安易に多用されるべきものでは無く、他の方法によっては正しい登記名義人への変更登記が不可能な場合のみに検討されるべきものです。