1.法定相続人になるのは?
誰が法定相続人となるかについては、民法により定められています。まずは、亡くなった方(被相続人といいます)に配偶者(夫、妻)がいれば、その配偶者は必ず相続人になります。
被相続人の子、父母、兄弟姉妹等は、配偶者とともに次の順番で相続人になります。
1番目 被相続人の子
2番目 被相続人の直系尊属(父母、祖父母) ※注1
3番目 被相続人の兄弟姉妹
1番目の対象者がいれば、2番目以降の人は相続人となりません。
たとえば、被相続人に子がいる場合の法定相続人は、その子、および(被相続人の)配偶者となり、次の順位である直系尊属は相続人とはなりません。
子がいなければ直系尊属が相続人となり、子も直系尊属もいなければ兄弟姉妹が相続人になるということです。
2.代襲相続とは?
法定相続人が誰であるかを判断するにあたっては、代襲相続についても注意が必要です。
代襲相続とは、本来ならば相続人になるはずだった子(または兄弟姉妹)が、相続の開始(被相続人の死亡)前に死亡しているときに、その子(または相続人になるはずであった兄弟姉妹の子)が代わりに相続することをいいます。
図の場合、平成14年に父が亡くなったときの相続人は、長女が生きていれば、配偶者(上の図では母と記載しています)と、長男、長女になります。
しかし、父の相続が開始する前である平成12年に長女が死亡しているので、長女に代わって、被相続人の孫である子1、子2が代襲相続人となります。従って、相続人は配偶者、長男、子1、子2です。
もし、代襲相続人となるはずであった孫も、被相続人が亡くなる前に死亡していた場合、その孫に子がいれば更に代襲相続します。これを再代襲といいます。
ただし、兄弟姉妹が相続人となるはずであった場合には、再代襲はしません。つまり、代襲相続によって相続人になる可能性があるのは、兄弟姉妹の子(甥・姪)までです。
なお、代襲相続は、相続人が相続開始前に死亡したとき以外に、相続人が欠格事由に該当する場合や、相続人が廃除された場合にも生じますが、相続人が相続放棄したときは代襲原因となりません。
相続人が欠格事由に該当していたり、排除されていたりということは、あまり無いでしょうが、分からないことがある場合、まずは司法書士などの専門家に相談した方が良いでしょう。
※注1 直系尊属とは
直系尊属とは、父母、祖父母、曽祖父母などのことです。直系尊属が相続人となる場合、親等の近い方が相続人となります。つまり、父母がいれば父母が相続人となり、父母がいなければ祖父母が相続人となるのであり、たとえば、母と祖父が同時に相続人となることはありません。